2017/3/11 名古屋ウィメンズマラソン前日
名古屋ウィメンズマラソン展望C
竹地が3回目の名古屋に手応え十分
「森川流トレーニングでマラソンでも結果を出す!」
竹地志帆(ヤマダ電機)は3年連続3回目の名古屋ウィメンズマラソン出場。過去2回の名古屋を次のように振り返る。
「1回目(2時間31分18秒・14位)はヒザのケガの影響で、マラソン練習がそれほどできていませんでした。後半、ペースが落ちてしまい、ゴールできるのかな、と思いながら走っていましたね。でも、それでマラソンがいやになることはありませんでした。2回目(2時間25分29秒で7位=日本人6位)は初マラソンよりしっかり練習がこなせたので、1回目よりも走れると思ってスタートできましたし、レースも全然違う形になりました。今回は同じ30kmの練習でも、去年よりも余裕を持って走り終えることができて、次の日のジョッグもすごく元気に走っていました。力がついていると感じられています」
竹地は30km走の練習をするときに、尻込みすることは1回もなかったという。
「1年前は1回離れてしまったことがあって、その次の30kmはドキドキしましたが、今回の30kmは(すべて)気持ちの面で余裕を持って終わることができ、次もイヤと思わずに走ることができました」
そこに、ヤマダ電機の特徴が現れていた。
竹地志帆のマラソン全成績
回数 |
年 |
月日 |
大会 |
順位 |
日本人順位 |
記 録 |
1 |
2015 |
3.08 |
名古屋ウィメンズ |
14 |
10 |
2.31.18. |
2 |
2016 |
3.13 |
名古屋ウィメンズ |
7 |
6 |
2.25.29. |
森川賢一監督のメニューの特徴はポイント練習の負荷を小さくし、その代わりにジョッグを速く走ること。そのスピードは選手個々が判断することになるが、そこで速く走ることができれば、ポイント練習とのスピード差が小さい範囲で継続的に練習を続けられる。
同じ練習でもいやいや走るのと、その練習の効果を信じて前向きに走るのでは、効果が違ってくる。川内優輝(埼玉県庁)は市民ランナー・スタイルで取り組むことで、走ることのすべてを“自分のやりたいこと”とすることに成功した。そこが一番の武器であることは、川内の戦績が証明している。
それを実業団システムのなかでやろうとしているのがヤマダ電機で、ポイント練習の負荷を抑えることで練習に対して前向きに取り組める。“読書の時間”も設けられていて、自己啓発本などを読む。毎朝5時30分台に、森川監督から選手に“今日のひと言”が届き、選手たちは意欲的に一日の生活を始める。
そのスタイルでヤマダ電機はトラック、駅伝で結果を残して来た。
1万mでは西原加純が日本選手権で14、15年と2連勝し、仁川アジア大会、北京世界陸上代表に選ばれた。14年日本選手権では、西原、竹地でワンツーフィニッシュを果たした。クイーンズ駅伝では14年から3位、4位、3位と完全に上位に定着している。
森川監督は佛教大時代にも、全日本大学女子駅伝に2回優勝。西原をユニバーシアード金メダリストに、吉本ひかり(ダイハツ)を11年のテグ世界陸上代表に育てた。
マラソン練習では、40km走は行わないのが森川監督流だ。距離走は最長で30kmまで(同じ日の朝練習で12kmを行うが)。その理由を森川監督は次のように説明する。
「トレーニングは2時間まで。それ以上追い込んでもメリットはないように思います。1km4分なら30kmで2時間です。40km走をすると2時間40分以上になりますが、レースではそんなに長く走りません。30kmをある程度のペースで行った方が効果はある」
30km走は4本で、2月のトレーニングでの走行距離は「850kmくらい」(森川監督)。昨年と大きく変わっていないが、竹地のコメントにあるように余裕が違ってきているし、「30kmなら2〜3分速くなっている」(同監督)という
「あとは各自で50分走りなさい、60分走りなさいというくらい。4分20秒台で入って、3分40秒台で上がっているじゃないでしょうか」
ジョッグの最後が3分40秒台である。
その方式ではマラソンでは結果が出せない、という声が出ているのも事実のようだ。マラソンで代表入りした選手はまだいないし、竹地も佛教大を卒業する際、マラソンで実績のある実業団チームに進むことも考えた。
「悩んだこともありましたが、監督とその点もしっかりと話し合って、30kmまでしか練習では走らないけどマラソンも走ることができると、納得してヤマダ電機に入りました。後輩も強いですけど、佛教大からお世話になっている私がマラソンで結果を出したい。監督のメニューでもマラソンを走れると証明したい」
森川監督も今回の名古屋ウィメンズを「東アフリカの選手と対等に戦える選手を育てていくためのステップ。夢ではなく、現実として」と位置づけている。
選手の強い気持ちと、指導者の信念が噛み合ったとき、大きな力が生じる。
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